【座学&実践活動】
・第1クール(9月) ![]() ◆1日目(21日) ・副業型自伐林家養成塾・開講式。(成川順/報告・写真撮影) 近年は、日本のみならず、世界中で洪水の被害が目立っている。地球温暖化による異常気象をその原因とする報道は多いが、はたして、それだけが原因だろうか?私は、森林の荒廃による山の保水力の減少が被害をより大きなものにしている、と考える。 本日、副業型自伐林家養成塾が開講された。過去4年間に100名の卒業生を輩出している、NPO土佐の森・救援隊の主催である。今後、3月末まで月に5日のペースで、これから林業と関わってみようかな、と考...えている人たちのための実践的な講習会が持たれる。日本の地形には、農業も林業も小規模経営が実際的なのではないか、と私は考える。 森林での作業は、どうしても危険を伴う。私は、森援隊で伐倒・搬出の活動しているので、全くの素人でもないのだが、自分の安全のため、仲間の安全のため、謙虚に受講しておくことにした。今年は時間的に余裕があるので、35回全出席を目標にしている。卒業の暁には、新たな地平線が広がっているかもしれない。 ![]() ◆2日目(22日) ・チェーンソーの実地練習 (成川順/報告・写真撮影) 副業型自伐林家養成塾の初日には、チェーンソーについての座学(田村嘉永講師)があった。しかし、話が分かってもチェーンソーを実際に扱えるわけではない。それで、2日目の今日は、日高村・茂平の森(村有林)でチェーンソーの実地練習をした。森援隊が手がけている間伐の最前線である。午前中は、恐る恐る、各自3本くらい伐倒した。午後は、枝はらい、横木切り、搬出作業に汗を流した。 写真は、午前中、福留さんの指導を受ける三木さん(四万十市・地域おこし協力隊)の雄姿。若くて積極的なので、上達はすこぶる早く、午後には、チェーンソーをにぎる姿が様になっていた。 ![]() ◆3日目(23日) ・チェーンソーで横木切り。(成川順/報告・写真撮影) 副業型自伐林家養成塾の3日目は、日高事業所で、薪づくりの材料をつくるための、チェーンソー横木切りを行った。板材としては使い物にならないC材を、まず30cmの長さの丸太にしていくのである。次に、油圧式の薪製造機で切り裂いていくのである。捨てられる間伐材や雑木を少しでも有効利用しようという試みである。薪ストーブの改良が進み、今後、薪の需要は増大するであろうと予想されている。 日高村の西本さんは、参加者名簿には、載っていない。どう...してかと言うと、初日に、間伐の相談にお母さんと来て、「今、隣の部屋で、副業型自伐林家養成塾というのをやってますから、受講されたらいかがですか?」と勧められ、そのまま受講を決めたといういきさつだからだ。受講生の中には、西本さんのように自分の山を持っていて間伐をどうしようかと考えている人も多いが、問題意識が明確なので、チェーンソーの訓練にも熱が入る。 写真は、その西本さんの雄姿。「太い丸太を切っているところを写してください」と言うので、その注文に応じた。雑木でこんなに太い丸太はめったにない。雑木は堅いので、かなり苦労しながら、切り落としていた ![]() ◆4日目(25日) ・自給自足的に生きる(報告:成川順氏/写真撮影) 副業型自伐林家養成塾の4日目は、日高村・茂平の森(村有林)で伐倒、搬出の実際を学んだ。チェーンソーの練習とはいえ、それは現実の間伐作業でもある。また、C材の搬出は、軽トラックで「木の駅ひだか」まで運べば、研修生であっても、重量により何枚かのモリ券(1枚で1000円相当の地場産品と交換できる「いわゆる地域通貨券」)をもらえる仕組み(新・C材で晩酌を事業)になっている。 今日は、兵庫県姫路市から来ている研修生の入江さんと作業を共にした。彼は、介護会社の社長で、いかにもそれらしい車に乗っているが、とても熱心であ...る。「介護会社の社長がどうして自伐林業なんですか?」と私が聞くと、「これからの時代は、個人も社会もあらゆる分野で、自給自足的に生きていかなければならないと考えました。地方の資源が生かせる時代の到来です」というような回答が返ってきた。 写真の左が、その入江さんである。右は、指導に当たっている好永さんである。「茂平の森」は、ヒノキの森なのだが、樹高は30mくらいもあり、上の方では枝が密生しており、8割くらいは、他の木の枝にかかってしまう。処理がやっかいな「かかり木」というやつだ。それで、好永さんは、他の木にかかった伐採木を、道具を使って左右に揺さぶって、倒そうとしているのである。 ![]() ◆5日目(27日) ・NHKの「自伐林業」取材(報告:成川順氏/写真撮影.2012.9.27) 副業型自伐林家養成塾の5日目は、佐川町・司牡丹の森(私有林)で伐倒、搬出の実際を学んだ。写真は、谷側にドドドドドーと轟音と共に倒れ込む直前のヒノキの大木である。樹高30m、直径40㎝くらいもありそうであった。危険を避けているため人は写っていないが、指導員(1名)、研修生(4名)、NHK撮影隊(3名)の合計8名が、かたずをのんで、伐倒を見つめていたのである。 NHKの取材は、3日目(9月25日/ディレクター単独、日高村「茂平の森」)にもあり、今話題の「自伐林業」をテーマにするものであった。この日は、研修生の西本さん中心ということで、撮影が進んだ。なかなか多角的に取材しているように思ったが、放送時間が4分と短すぎるので、カメラマン氏の努力がどこまで報われるか、危ぶまれる。 今回の養成塾レポートが少し遅れたのには、わけがある。28日、29日と連続して、森林保全ボランティア安全研修(ユンボの講習会)が、県立森林研修センター(香美市)であったので、それに泊りがけで参加していたからである。同じ養成塾・研修生の、長瀧さんも来ており、参加者14名の内5名が友人知己であった。NPO法人土佐の森・救援隊、こうち森林救援隊、朝霧森林倶楽部などのメンバーも来ており、いろいろ情報交換ができた。 ![]() ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-ーーーーーーーーーーーーー 今回の養成塾では、NHKの取材(テーマは「自伐林業」、ディレクターは岸田恵子氏/NHK高知放送)がありましたが、放映日時が決定しました。 10月7日(月)朝7時45分から4分間程度。「おはよう高知」四国四県で放映されます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◆NHKの「自伐林業」放送(成川レポート/2013.10.5) 10月7日(月)、午前7時45分から4分間、NHK・TVで「自伐林業」が流される。 森林伐採の仕方には、重大な環境問題が絡んでおり、もっと長時間の番組にすべきだと思う。今後のNHKの問題意識と番組編成に期待したい。撮影現場に私もいたが、NPO土佐の森・救援隊の副業型自伐林家養成塾の研修のようすが番組の中心になるのではないだろうか。 県内で間伐をしている友人に聞くと、たいがい「切り捨て間伐」をやっている。もったいない話だが、搬出が難しい場合、40年経過しているような大径木もそのまま山に残している。それに対し、土佐の森方式というのは、A材、B材はもちろん、雑木や板材としては使い物にならないような小径木も軽架線で搬出し、C材(薪、チップ)としての価値を持たせている。そのことにより林業が副業として成り立っているところが重要であろう。 ![]() ・新・C材で晩酌を!事業(NPO法人土佐の森・救援隊) ************************************ ・第2クール(10月) ![]() ◆1日目(19日) ・山中宏男/林業を語る(成川順/報告・写真撮影/2013.10.19) ![]() 「日本という国は、つくづく生産者を大切にしない国ですね。林業はもちろんですが、最近のTPPなどを見ていてもそう思います」森羅万象に...一家言を持つ彼は、そんな言い方をした。「いごっそう」というのは、たぶん、彼のように、自らの体験から人間や人間社会をわしづかみにし、かつその本質を逃がさない男のことをいうのだろう。 ![]() 午前午後の座学が終わってから、彼本来の家業である製材の実際を見せてもらった。唸りを上げる巨大な丸鋸を前にした時、柔和な彼の表情に緊張が走るのがわかった。私の壊れかけたカメラが、その瞬間をとらえた。 製材の後、最後に、トビの使い方の実技指導があった。 【写真】移動式製材機で「製材についての薀蓄」を語る山中宏男さん&トビの使い方。 ◆2日目/10月20日 ・安藤忠広/作業道を語る(成川順/報告・写真撮影/2013.10.20) ![]() 「道をつくるというのは、楽しいですよ。山を全身で感じながら仕事ができて、自分の生きた...形跡が残っていくのですから。師匠の橋本光治さんからは、『けもの道を追え!昔の道を追え!』と教わりました。 ![]() 地形に逆らって真っすぐな道をつくると、すぐ水に流されてしまいます。水の通り道には、石を組んで洗い越しを設けています」 5000mの作業道は、幅3m、ところどころに豪快な木組工法が見受けられる。7トンのユンボを駆使して、彼一人で工事を進めている。「ユンボがいろんな仕事をしてくれます。ユンボほどおもしろいものはないです」と彼は言う。間伐などは、「土佐の森・救援隊」が人海戦術でサポートしている。 午後は、小雨の中で、ユンボの実技講習があった。 【写真】7トンのユンボの操縦席に乗って、その操縦法について解説している安藤忠広さん&木組工法。 彼は、25坪の木造の交流施設を持っているが、伐倒、搬出、製材を自分でしたので、坪単価は20万で建設できたという。現在、高知市内で木造建築を手掛けているが、山中の自宅敷地に建てるようにはいかないが、だいたい坪40万でできるという。 ![]() ◆3日目/10月21日 ・養成塾メンバーは多彩(成川順/報告・写真撮影/2013.10.21) ![]() 土曜日曜の研修に続く3日目の月曜研修である。参加した養成塾メンバー6名がどこから来ていたのかというと、金子―三重県、入江―兵庫県、小松―高知市、西本―日高村、長瀧―佐川町、成川―いの町、と多彩であった。年齢層も幅広く、養成塾に至る人生経験や背景も多彩で、興味深い。 午前中は、間伐(伐倒と軽架線による搬出)を2班に分かれて行動した。私は、小松さん、西本さん、長瀧さんとともに、間伐(伐倒)コースを選択した。指導は、言葉遣いの丁寧な江渕さん。 【写真】谷に向けて伐倒する小松さんのチェーンソー・ワーク。写真には写っていないが、彼の背後に4名の目が光っていた。 ![]() C材は軽トラに人力で積み込み、日高事業所に運び込む。2トン車に積み込むA材は、その前に林内作業車に集める必要がある。ここでも「林業女子」の中村さんが林内作業車を操作していた。 ◆4日目/10月23日 ・雨の行方(成川順/報告/2013.10.27) ![]() 【写真】日高村・茂平の森での間伐のようす(2013.9.25) [閑話休題] 成川順氏 私は、少年のころからオオカミに関心があって、文献をあさり、内外を旅してきた。それは断続的に50年以上も続いている。動物学者ではないのだが、私が詳しい分野があり、時々原稿依頼が舞い込む。オオカミは、森林生態系の頂点に位置する動物なので、世界のオオカミは、世界の森林の衰退に影響を受け、激減している。森の衰退によ...って生存を脅かされ始めているのは、オオカミだけではない。 日本の森林率はおよそ国土の68%で、フィンランドに次ぐ世界第2位の森林国である。そのおよそ半分は人工林が占めており、1000万haある。人工林のうち、スギが45%、ヒノキが25%で、アカマツ、クロマツ、カラマツなどがそれらに続く。人工林のおよそ70%はスギかヒノキなので、人工林は天然林(およそ広葉樹林)と比べると、保水力に劣るといえる。 森林があるとないでは、降った雨の行方に影響する。もちろん、天然林、間伐された人工林、間伐されていない人工林の違いは大きいが、およその話をすると、降った雨は、森林がある場合、樹木から蒸散するー15%、蒸発するー25%、地表を流れるー25%、地下水となるー35%となる。森林がない場合、蒸発するー40%、地表を流れるー55%、地下水となるー5%となる。注目すべきは、森林がない場合、地表を流れる水が30%も増えることである。 近年、洪水や土石流の被害が日本でも増大しているが、異常気象ばかりが「犯人」にされがちだが、国家100年の大計を見失った森林行政も「共犯者」として忘れてはならない。つまり、洪水や土石流の原因は、①拡大造林(昭和25年から45年にかけて大量の針葉樹が植林された)②林業の衰退(安い輸入材におされ、木材価格が低迷し、林業が産業として成り立ちにくくなった)によるところが大きい。 洪水や土石流の被害は天災として報道されることが多いが、実は、人災ととらえるべきなのである。 ![]() ニホンオオカミはすでに絶滅しました。そのニホンオオカミにとどめをさしたのが、拡大造林であったと考えています。撮影筆者。 ◆5日目/10月25日 ・薪泥棒が出た (成川順/報告・写真撮影/2013.10.28) ![]() 10月初めに、夜間に良心市の...薪が盗まれるという前代未聞の事件が起こった。「盗まれたのは、どこの薪ですか?」と聞くと、片岡駅長は、その場所を指差して、「あそこです。800㎏やられました。軽トラで2台分くらいでしょうか。パトカーがすぐ駆けつけてくれました。ものがものだけに、足がつきやすく、捕まるんじゃないですか。捕まったら、求刑は、火あぶりですな。レアでもミディアムでもなく、ウェルダーンですな」と言った。 私は、盗まれて空間になったしまった場所を見て、言葉がなかった。というのは、私が苦労して積み上げた薪がそっくりそのまま姿を消していたからである。周囲をはばかりながら、短時間に、かなりの重労働をこなしたことが想像される。格差社会で追いつめられた人が、銀行強盗ができなくて、盗んだのかもしれない。良心市の価格で計算すると、時価24000円になるのだろうか。捕まらなければ、……。 NPO法人土佐の森・救援隊の地道な活動に、社会的な関心が高まっている。取材、見学はしょっちゅうのことである。今月は、NHKの「自伐林業」が全国放送にまでなった。この日は、高知新聞・政経部の小笠原記者の取材があった。林業を広範に取材している彼は、「薪づくりの現場写真が撮れるのは、県下にここぐらいしかないんですよ」と言った。また、彼と交代するかのように、高知大学の10名ほどの学生さんたちが見学に来た。片岡駅長から軍手を配布され、楽しそうに薪割りを体験していた。 今の時代になぜ薪なのか?それは、C材(間伐材)の有効利用と温暖化対策になるからであろう。石油や石炭などの化石燃料を燃やすと、二酸化炭素を発生する。薪を燃やしてもやはり二酸化炭素は発生するが、それは、光合成の時に空気中から吸収した二酸化炭素以外ではなく、±0の二酸化炭素である。薪倶楽部が生産する年間100トンの薪は化石燃料の節約と二酸化炭素の排出抑制に微力ながら貢献しているはずである。 【写真】盗まれる前、私が積み上げた薪の山。 ************************************ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◆新聞記事から(2013年8月28日/高知新聞) ![]() ![]() ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◆ご案内【募集開始】 ![]() 自分の山をきちんと管理したい方 定年退職後の生活設計を林業でと考えている方 地球温暖化を憂い、なにかをしたいと考えている方 間伐から木材・林地残材の搬出や運搬まで、林業技術を学んでみませんか! 長年の実績を積んだNPO法人土佐の森・救援隊や専門の一流講師陣による安全でシンプルな林業技術を初歩からていねいに学んでいただきます。 NPO法人土佐の森・救援隊 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・参加申し込み、問い合わせは・・・ NPO法人 土佐の森・救援隊 高知県高岡郡日高村岩目地字中山940-1 担当:片岡(かたおか) TEL:0889-24-5444 FAX:0889-24-5399 Mail:tosa-wood@kochi.email.ne.jp ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ [参考・1] 平成25年度高知県副業型林家育成支援事業計画書(平成25年7月5日に、NPO法人土佐の森・救援隊が高知県林業振興・環境部森づくり推進課長に提出したものです。) この計画書には、「地域活性化、定住、自立の新しいスタイル」を具体的な形にした政策提言を盛り込みました。提言した「新しいスタイル」については7月8日に新藤総務相が「自伐林業」の現場を視察した際に期待感を示しました。(新聞記事から) しかし、高知県からの交付決定通知では関連経費予算は削除され、担当官から「新しいスタイル」を行うなら独自に進めて欲しい、とのコメントがありました。 そのようなことから、今年の募集パンフレットには、不在村地主をはじめ、現在も将来的にも森林を適正に管理できない小規模の森林所有者の相談窓口を開設することを記載しています。 ![]() ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ [参考・2] ・新聞記事から(高知新聞) 自伐林業「普及を応援」
by npo-tosanomori
| 2013-08-14 05:47
| 副業型自伐林家養成塾
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